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論文捏造

松村秀の「論文捏造」。

科学界今世紀最大の捏造事件のノンフィクション。

サイエンスやネイチャーにばんばん論文を出していた新進気鋭の若手ドイツ人物理学者シェーンの論文が実はほとんど全部ウソだったというお話。

事件の全容が非常に緻密にかつわかりやすく書かれており、久しぶりに時間も忘れて読みふけってしまう本に出会いました。

事件に関わった人物のインタビューなどを通して事件のリアリティさが正確に表れています。

筆者の取材力に感服しました。

こういう面白いノンフィクションに出会うとフィクション小説を読む気がなくなってしまいます。


この事件を起こしたドイツ人のシェーンは論文捏造を繰り返し、それが発覚した後も自分の正当性を主張し続けます。

いくら嘘がうまい人でもそこまで粘りとおすことは難しいと思います。

それを考えるとやはりこの人は一種の精神疾患だったのではと思います。

自分が作り出した幻想を本当にあったことと思いこんでしまう。

そんな病気があるかどうか知りませんが彼の主張は嘘とかその嘘を取り繕うとか言った領域を超えていると感じました。

この事件は特殊な例でですが、一番の問題は論文の捏造は気付かれにくいし、その捏造をあとから証明するのはとても難しいということです。

この事件もいくつかの決定的におかしなデータが出てきたことで発覚しましたがそれさえなければ彼の論文、理論は今でも信じられ続けているという可能性だって大いにあります。

きっと世の中にそんな論文ってやまほどあるんだろうなと思ってしまいました。

論文を読んでてえっ、まじでと思うデータが時々ありますが、やっぱりそういうのは嘘かもしれないですね。

やはり常に疑いの目を持って物事を見る必要があるのでしょうか。

それはそれで悲しいことです。

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プロフィール

小林哲郎

Author:小林哲郎
皮膚免疫を専門に研究している獣医研究者。
2014年よりアメリカNIHに留学。

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