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Treating him for today not knowing what the future might bring.

僕が入っている世界の獣医皮膚科医のメーリングリストvetdermにいい言葉が書いてありました。

“Treating him for today not knowing what the future might bring.”

僕はこの言葉は獣医医療の真髄みたいなものをあらわしていると思いました。
たしかFIV positiveのネコで強い掻痒症に対してCsAを使うかどうかというディスカッションでした。
そのときその皮膚科医がオーナーと共有していたコンセプトが上のコメントでした。
「将来どういう副作用が起きるかわかりませんが、今のQOLを一番に考えてやっていきましょう」
和訳(補足付き)だとこうなるでしょうか。

きっと感染症や血液内科の先生が聞いたら、
「何を言ってるんだ、たかが痒いだけじゃないか。FIVのネコに免疫抑制剤を使うなんて間違ってる。」
と思われるでしょう。
ネコの予後のことを純粋に考えたらFIVの子に免疫抑制剤を使うのは間違ってると思います。
ヒトの医療だったらまずやらないでしょう。

でも僕は痒いまま1年長く生きるよりも、普通の暮らしをしてオーナーといい時間を過ごすことのほうがネコにとってもオーナーにとっても大切なのではないかと思います。
もちろん最終的な判断はオーナーに任せますが、僕がオーナーならきっと後者を選ぶと思います。
だってネコは自分の人生が1年長くなっても、短くなってもわからないんです。
たぶんネコは自分のの平均寿命を認識していないはずです。
きっと毎日おいしいご飯を食べて、楽しく遊んで、そのうちなんだか最近だるいなと思いながらこの世を去っていくんだと思います。
体が痒くて血だらけになりながらも長生きしてほんとにその子にとって幸せなのかは疑問です。

もちろんこれは掻痒症に限ったことではないと思います。
獣医領域の腫瘍治療は近年とても進歩していますが、それがほんとに動物にとって必要なのかどうかはケースバイケースで考える必要があると思います。

ヒトの場合は状況が違ってちょっと難しいです。
なぜなら本人も周りの人もだいたいその人の寿命を認識しています。
だからそれよりも前に死が訪れることをとても恐れます。
現代の医療は想定外の死を回避し、寿命を全うすることに全力が注がれるわけです。
しょうがないことですが、もう少し我々も動物たちの生き方に学んでみてはと思うところです。
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プロフィール

小林哲郎

Author:小林哲郎
皮膚免疫を専門に研究している獣医研究者。
2014年よりアメリカNIHに留学。

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