犬の蕁麻疹(じんましん)

先日の水曜、皮膚科の外来でアトピー性皮膚炎で通っているワイヤーフォックスのD君を1か月ぶりに診ました。
本当は来週に予約が入っていたのですがお薬が切れてしまったということです。
D君は去年来院された時は、僕が今まで診たアトピーの犬の患者さんの中でも最高ランクに入るぐらい体を非常に痒がっていました。
診察室でも始終体をかいたりかんだりしていて、それに伴いところどころ出血し、とてもかわいそうな状態だったのを覚えています。
さらにそのせいで飼い主さんもあまり夜眠れない日々が続いているということでした。
治療はまず2次感染の治療を徹底的に行いつつ、ステロイドとシクロスポリンの併用療法でとにかく炎症を抑えにかかりました。
本当は膿皮症の治療を行ってから痒みのコントロールというのが教科書的な正しい方法ですが、こういう子はもうしょうがないです。
痒みも一緒に抑えてあげないと、体をかくことによってさらに炎症が増悪してしまいます。
多剤耐性のブドウ球菌が出ていましたので二次感染のコントロールに時間がかかりましたが、2、3か月かかってようやく皮疹、痒みともに抑えることができるようになりました。
しばらくはステロイドとシクロスポリンでそのままよい状態を保っており、薬の量、頻度を減らしていたところです。

しかしD君を水曜に診たときには若干の悪化が認められ、なによりも背部一面に膨疹が認められ、蕁麻疹様の皮疹を呈していました。
犬の蕁麻疹は時々遭遇します。
体に膨疹が出たり、顔やパットがパンパンに腫れ上がったりします。
原因の除去が第1の治療ですが、原因がわかることはほとんどありません。
というか僕は残念ながら原因を特定できたことはありません。
蕁麻疹が出たときの状況などを飼い主さんに思い出してもらうのですが、普段と変わらない生活をしていたというのがほとんどのケースです。
普段と同じ散歩コースに行って、普段と同じものを食べて、普段と同じ場所で寝て。
それでも出てしまう時は出てしまうんですよね。

ただ一度、病院に来ると蕁麻疹が出るという子を診たことがあります。
これはストレスが引き金になっているのかもしれません。
また人で運動や入浴時に出現するコリン性蕁麻疹のようなものなのかもしれません。
最近の研究では汗に対する過敏がコリン性蕁麻疹の発症に関係していることが明らかになってきました。
いずれにしてもこの子の蕁麻疹予防の一番の対策は病院に来ないことです。
なんとも悲しいかな。

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プロフィール

小林哲郎

Author:小林哲郎
皮膚免疫を専門に研究している獣医研究者。
2014年よりアメリカNIHに留学。

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