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NIH皮膚科のジャーナルクラブ

僕の所属しているNIHの皮膚科では週に一度ジャーナルクラブというのが開催されます。
最近発表された論文を一つ選んでその内容をわかりやすくプレゼンする場です。
論文の選択は発表者の自由ですが基礎の研究者にも臨床の医者にも利益のある内容を含んだ論文を選ぶことが望まれます。
さらには自分自身の研究分野とは少し離れた論文を選ぶのが良いとされます。
それにより自分の知識の幅を広げようとするのも狙いのようです。

今回は僕が発表をする当番でした。
時間はだいたい1時間、金曜の朝の8時からです。
1月にNatureに掲載されたばかりのPrecision microbiome reconstitution restores bile acid mediated resistance to Clostridium difficultという「腸内細菌を再構成することによって腸管のクロストリジウム感染を改善させる」という内容の論文を選びました。
比較的短い論文ですが、細菌叢のマイクロバイオームのbioinformaticsの解析からマウスの移植実験までかなり盛りだくさんの内容の論文です。

久しぶりに本当に一生懸命論文を読んで一生懸命プレゼンの準備をしました。
そして改めて自分の英語能力の低さに落ち込み、さらには論文の内容を理解する上での科学的知識が不足していることに情けなくなりました。
発表はそれなりにうまくいき、質問にもそれなりに答えたような気もします。
ただ論文の背景の下調べから、論文の読み込み、プレゼンの準備までほぼ1週間まるまるこれにかかり切りにならざるを得ず、これは自分の能力のなさを露呈する結果となりました。

英語にしても科学的知識にしても、自分がいつもその場しのぎの知識を身につけることでなんとか一つ一つの問題を乗り切っていたのだと気づきました。
つまりはどれも薄っぺらい付け焼き刃の能力や知識で、真に意味のある、そして応用力のあるものではないのです。

大学院4年と3年半の日本でのポスドクの間、それなりに研究者としてのトレーニングをしてきたつもりでしたが、全然甘い認識だったことに気づき、なんて自分は無駄な時間を過ごしてきたのだろうと絶望的な気分になりました。

ただいつまでも過去を振り返ってばかりいてもしょうがないです。
ここで気づいただけでも良かったと思ってまた来週から地道な努力を続けるしかありません。
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プロフィール

小林哲郎

Author:小林哲郎
皮膚免疫を専門に研究している獣医研究者。
2014年よりアメリカNIHに留学。

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