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リスクをゼロにするのは難しい -STAP細胞から3/11原発事故まで- その1

またまた相当久しぶりのブログ更新です。
一人の日本人の科学者として今回のSTAP細胞の件に関してはどうしても論じないわけにはいかないと思ってPCに向かいました。
もちろんここで今回の事件の詳細について検証するつもりはありません。
そもそもデータの重複や泳動データの切り貼り、コピペ問題が発覚する前から一部の研究者の間では論文中の矛盾点に関する指摘がありました。(吉村先生のブログを参照http://new.immunoreg.jp/modules/pico_boyaki/)
ですのでその議論に関しては他に譲ります。

僕がここで考えたいのは、「こういった捏造事件を防ぐことはできるのか?」という問題です。
一人の研究者として正直言います。無理です。絶対に無理です。今後もこういった事件は一定の確立で起きるでしょう。
もちろん捏造が起きる可能性をできるだけ少なくするような対策は今後改めて大学や研究機関で議論されるべきです。
韓国のES細胞の捏造事件や日本の旧石器捏造事件など一般に知られてる大きな事件がありますが、実はこういった有名な事件以外にもニュースにもならない、あるいは公になっていない科学会の捏造時間は腐るほどあります。
そしてきっと明るみになっていない捏造はこれの倍、いや10倍ぐらいあるのかもしれません。
なぜなら誰にも気付かれないようにデータをいじることなど本当に簡単なことなんです。

最終的に正直に結果を書くか、あるいはちょっといらないデータを削除するかといった判断は各々の研究者の「倫理観」に委ねられます。
あるはずのない細胞を論文に書いたり、あるいはあるはずのない石器を埋めておいて発掘したりといった大胆な捏造はもちろんばれる可能性大です。
しかし、データの細かい修正などは誰にも気付かれずにやることは簡単ですし、これを研究機関や研究室のリーダーが監督することは現実的に不可能です。

今回のSTAPの事件で共同研究者やNatureのeditor、reviewerが論文の不正に気付かなかったのかという議論がありました。もっともな意見です。
ただこれも残念ながら無理です。
共同研究者や論文のeditorが送られてくる実験データをいちいち疑っていたら仕事になりません。
「送られてくるデータは適切な科学者倫理のもとに行われた実験である」という前提に立たないとそもそも一緒に研究することや研究を評価するなどといったことは成り立たないのです。

悲しいながら重要なメッセージは「研究の不正行為のリスクをゼロにすることはできない」ということです。
そしてさらに重要なのはここからです。
このリスクを恐れてはいけません。
リスクを恐れて常識を覆すような研究結果を正当に評価しなかったりとか、新進気鋭の若手研究者の支援を躊躇したりとかするのは本末転倒です。
今回の事件でより手堅い研究、研究者の支援へ重点が置かれるようになることが気がかりです。

何事にもリスクはつきまといます。
得られる可能性のあるbenefitが大きくなればなるほどrisk factorも大きくなります。
逆にリスクのある仕事にチャレンジしなければ、それ相応の結果しか得られないでしょう。

今回の事件で共同研究者や理研の対応の甘さ、この国の研究者倫理教育の整備など反省すべき点は多々あります。
ただ科学と国の発展のために日夜努力している研究者への支援を国や納税者が続けてくれることを一人の研究者として願うばかりです。

原発事故のリスクのことまで書けませんでした。
次回に続きます。

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プロフィール

小林哲郎

Author:小林哲郎
皮膚免疫を専門に研究している獣医研究者。
2014年よりアメリカNIHに留学。

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