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日米の学生のレベルの比較

現在までのところ臨床に関するアメリカの学生のレベルが日本の学生のレベルよりも総じて高いことは認めざるをえません。

アメリカの3年生を日本の5年生と比較してみると、彼らのレベルは(受けている授業のレベルや話している内容から判断し)日本を上回っています。
またアメリカの皮膚科をローテーションで回っている4年生と、日本の農工大においてポリクリで皮膚科の外来を回っている6年生を比較すると、もうこれは比べようもないほどアメリカの学生の方が色々なことをよく知っています。

これは彼らの方が優秀であると言っているわけではありません。
彼らのほうが密度の高い教育を高いモチベーションの中で受けていることからくる差だと思います。
またこれは学生全般を総合的に見てであって、わが教室所属の5、6年生(普段から診療に出て外来で勉強している)をアメリカの学生と比べると全く遜色ない、ということを付け加えておきます。
つまり個人戦ではアメリカに対抗できますが、団体戦では勝つ見込みは低いということです。

ほとんど全てが臨床に進むhomogeneousなpopulationであるアメリカの学生と、およそ半分が小動物に、残りは製薬会社や公務員に進むheterogeneousなpopulationである日本の学生を比べるのはそもそもフェアではないのかもしれません。
ただそのシステムの違いによって学生が受ける教育の質に大きな違いができているのが現実です。
アメリカの学生は自分たちが将来携わる臨床に特化した教育だけを高いモチベーションで受けています。
一方日本では臨床の授業は増えていますが、臨床を志す学生の半分は臨床以外の授業にその時間を費やさなければいけません(逆のパターンもまた然り)。

そんな状況の中でも日本の学生は実によく奮闘していると思います。
意味のない授業を一生懸命聞いてテストに備えたり、国家試験のためだけに役に立たないことを覚えたり。
本当に日本の学生は偉いと思います。

アメリカのようなそれぞれの学生たちのニーズのあった教育を行うには、教育システムの改革など大きな変更を伴う必要があり、これを実現するには相当な時間が必要でしょう。

ただもう一度強調したいのは“個人戦”であればなんとか戦えると感じています。
臨床においてはアメリカの方がかなり優位であると思っていましたが、例えばレジデント3年目のアリソンと大学院3年目の僕、アメリカでローテーション中の4年生と日本の農工大内科学教室の後輩の6年生を比較するとその力はある部分では五分ではないかと思います。
彼らの方が臨床に費やしている時間が多い分知識は上の部分もありますが、こちらはその分basic researchに時間を使っていますのでリサーチに関しては我々の方が勝っていると感じます。

勝った負けたの世界ではありませんのでこういう比較をすること自体意味はないのかもしれません。
しかしまだ日本の獣医臨床業界にはアメリカは進んでいる、アメリカはいつも正しいという風潮が一部にあると感じており、本当にそうなの?と疑問に思っています。
今後のグローバル化した社会では一方が一方から常に教えてもらうのではなく、相互に教え合う対等なパートナーシップが必要であると思います。
海外からよい部分は取り入れながら日本独自の技術を育成し、情報を蓄積し、逆にそれを海外に発信していくことで日本の海外における立場をより明確な形で確立していけるのではないでしょうか。

それは“坂の上の雲”よりも近い、現実的に手の届くところにあると確信しています。


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コメント

なるほど。素晴らしい洞察力ですね。
アメリカは正しい。という風潮は獣医業界に限ったことではなく、世間にあふれていますもんね。『俺らが正しいんだ』というごり押しに日本人は弱いのでしょうか。
大学の授業でも『アメリカはすごい』としか聞いてこなかったので、こういったレポートはとても面白いです。
日本独自の『色』が上手に機能するように個人個人が認識する必要がありますね。
いずれにせよ、百聞は一見にしかず。外を知ることで内を知れますね。自分も世界を見に行きたいです(^^)/

欧州の話も楽しみにしてます!

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プロフィール

小林哲郎

Author:小林哲郎
皮膚免疫を専門に研究している獣医研究者。
2014年よりアメリカNIHに留学。

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