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皮膚科のローテーション初日

さて、本日からウィスコンシン大学での皮膚科のローテーションが始まりました。
朝の8時にデボア先生がホテルでピックアップしてくれるはずだったのですが昨日の夜から降り始めた雪のせいで道路が渋滞し20分ほど遅れ、慌ただしい朝となってしまいました。

DSC00595.jpg


まずは事務でIDカード、ロッカー、白衣、ワイヤレスランのアクセスコードをもらいます。
午前中はデボア先生に「3年生の学生に皮膚科の授業があるんだけど聞きに来る?」と聞かれ、どんな授業をしているのか興味があったので聞きに行きました。
本日のレクチャーはノミアレルギー。
ノミの生活環から、ノミアレルギーの病態、臨床症状、診断、治療まで話して50分ほど。
50人ほどのクラスでみんな真面目に授業を受けていました。
誰か一人ぐらい寝てるやつがいるだろうと観察していましたが残念ながら発見できず。
みんな一生懸命ノートに書き込んでいました。
ここにいる学生のほとんどが卒業後にノミアレルギーの患者に遭遇するはずなので当然モチベーションは高いですよね。
日本の学生のように俺は製薬会社だから関係ないやとか、私はどうせ公務員だから別に聞かなくてもいいやとかいう人は恐らくいません。
そう意味では日本の学生は役に立ちもしない講義(臨床に進まない人のための臨床の講義、臨床に進む人のための公衆衛生などの講義)を聞かされるのはなんとも不幸ですし、そういったモチベーションの低い学生に講義をする先生方も気の毒です。
最終的には国家試験にでるからという言葉でモチベーションを高めるしかないわけです。

さて、本日の午前中の外来は新規の患者でオーナーが信じて疑わない食餌アレルギーのボクサー2頭。
皮疹が全くなく時々消化器症状があるとのこと。
食餌アレルギーの概要についてデボア先生とレジデントのアリソンが説明してお帰りいただきました。
午前中はこの2件だけ。

午後は再診の患者が2件。
基本的にはレジデントのアリソンが患者を診察し、ローテーションで回っている3人の4年生の女の子たちが横でカルテを書いたり、スライドを染めたりします。
1件はアトピーでシクロスポリンで治療されているオーストラリアンキャトルドック。
5mg/kg sid(一日100mg)前後でずっと治療されており状態は良いとのこと。
漸減すると悪化し、金銭面での問題もないようなのでこのまま行きましょうとのお話。
今のところシクロスポリンでの副作用の報告はほとんどないので血液検査も必要ないし、用量を無理に下げる必要もないでしょうとデボア先生は説明していました。
デボア先生からAllergy dropsというsublingual immunotherapyの説明があり、もし来年あたりに症状が悪化すればこれを試してみましょうとのお話がありました。
要するに減感作療法を経口免疫でやるという方法らしいです。
ちょうど最近ここでの治験が終了したところで10頭中8頭のアトピーの犬に何らかの臨床症状の改善があったそうです。
しかしシクロスポリン投与中で免疫抑制状態だけれど効果あるのかな?とか、アトピーは皮膚免疫機能の異常で口腔内の粘膜免疫とはまた別の機序が考えられるけれどそれでもいいのかな?などの疑問がわきましたが忙しそうだったので聞きそびれてしまいました。
また別の機会に聞いてみます。

2件目は脂漏症のアメリカンコッカースパニエル。
鱗屑が多くて時々膿皮症が出るとのことですが、きちんとケアされていて調子は良さそうです。
これなら5分話してシャンプー出して終わりかなと思いきや、問診から皮膚の細胞診、最後に処方箋を書くまで1時間かかりました。
その間アリソンはずっとオーナーにしゃべりっぱなし。
よくこんなにしゃべれるなという感じです。
オーナーも最後の方はもういいだろうという顔をしていましたし、このあいだ旦那になんでこんなに時間がかかるんだと言われたけれど、ティーチングホスピタルだからしょうがないわよと言ってやったわよと言っていました。
アリソンも3人の学生に説明する意味を込めて診察しているんでしょう。
そうじゃないと頭の先から尻尾の先までどこにどういう鱗屑が付着しているかを見ていちいちカルテに書かせることなんかできません。

ということで本日の外来は4件。
いつもだいたいこれぐらいだそうです。
1日の外来で新患で4、5件、再診で20~30件診ている農工大と比べると非常にゆったりとした外来です。
ただこれを毎日月曜日から金曜までやっているので新患の数は総じて週1の農工大よりも多くなります。
アリソンに農工大のシステムを説明したら、なるほどそういうやり方もいいわねと言っていました。
ただこれは農工大のように2人の皮膚科のスタッフドクター、一般内科のスタッフドクター1人、大学院生6人、フルタイムの研修医1人、パートタイムの研修医10~15人、学生5~10人という世界でも有数と思われる恵まれた人的資源が確保できるからなせるわざです。
アリソンはきっとたくさんテクニシャンが必要ねと言っていました。
いやそうじゃないんだ、みんなただ働きしているだけでほとんど人件費がかかっていないから成立している外来なんだとは残念がら言えませんでした。

こんな感じで始まった皮膚科のローテーションですが日米の差が随所に見られておもしろいです。
明日からまたどんな患者が来るのか楽しみです。


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コメント

おはようございます。326(mitsuru)です^^よろしくおねがいします!

自分も含め、進路と違う授業に対するモチベーションは低いかもしれないです。仰られているとおり、国家試験という目標でしかないですね。

アメリカでは普通の大学を出てから、目的をもって大学に入っている方が多いと思います。
私見ですが、日本の大学制度では目的意識の持ち方がちがうのではないでしょうか?受け身の姿勢になっていると思います。大学制度の違いからも、日米の授業に対するモチベーションの違いがあるのではないでしょうか。

ところで、学生は1つの学年が50人なのでしょうか?

臨床実習引き続きたくさんのものを得てきてください!ご報告を楽しみに待っています♪
自分も国家試験頑張ります!ありがとうございます!
私事ですが、自分の大学院でのテーマは再生医学です。そんな理由もあって、Tetsuroさんのブログにコメントしようと思ったんです。
まだ流動的ですが、膵臓に関しての研究を行う予定です…^^;基礎系の研究室で勉強させてもらいます!

Re: タイトルなし

大学の教育システムの違いによる日米の差はとても大きいと思います。
臨床も公衆衛生も毒性も広く浅くできる何でも屋の獣医師を養成する日本とスペシャリストを養成するアメリカの違いです。
アメリカは4年終わってからさらに4年のvet schoolですからまずそこは大きく違いますよね。
ただ日本と同じシステムの高校卒業後6年間の獣医大学を持つヨーロッパではどうでしょう?
少なくとも日本のように公務員や製薬会社の毒性に進む人はほとんどいないと思います。
実際のところはよく知らないので今度スイスから僕のラボに獣医がくるので聞いてみます。

膵臓の再生ですか。
ゴールは糖尿病の完治を目指すβ細胞の再生でしょうか?
熱い分野ですね。
国内国外ともにcompetitorの多い分野ですから頑張ってください。

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プロフィール

小林哲郎

Author:小林哲郎
皮膚免疫を専門に研究している獣医研究者。
2014年よりアメリカNIHに留学。

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